No. 1002023. 01. 23
その他 >

ベトナム熱帯感染症研修

  • 国立国際医療研究センター
  • 守山祐樹

    ベトナム熱帯感染症研修は、ベトナムのベトナム国ホーチミン市熱帯病院(図1)で熱帯病の研修ができるコースです。COVID-19の影響で2020年以降中断していましたが、2023年度は再開予定です。

    図1 研修先のベトナム国ホーチミン市熱帯病院(Hospital for Tropical Diseases:HTD, Ho Chi Minh City, Vietnam) 
    感染症に特化した病院で、かなり遠方からも患者が搬送されるとのことでした

    例年、10~11月ごろに1週間程度、ベトナムのホーチミンに渡航します。ここでは、私が参加した2018年のスケジュールをお示しします。

    日曜日 東京発ホーチミン着 夜にホテル(図2)でオリエンテーション
    月曜日 臨床研修 外来・病棟 講義
    火曜日 臨床研修 外来・病棟 講義
    水曜日 臨床研修 ラボ見学 中間発表
    木曜日 臨床研修 外来・病棟 講義
    金曜日 臨床研修 外来・病棟 最終発表 ホーチミン→日本(深夜発フライト)
    土曜日 朝 日本帰国

    図2 宿泊したホテル なぜかツインでしたが、1人1部屋です。せっかくなので(?)日ごとに寝るベッドを変えていました

    私がベトナムに渡ったのは11月上旬でしたが、現地はかなり暖かく半袖で過ごしました。フライトは約6時間、現地との時差は2時間です。

    臨床研修では、ICU(成人・小児)、マラリア病棟、脳炎ユニット、結核病棟、HIVユニットなど多岐にわたる病棟を見学します(図3)。現地のドクターが親切にいろいろな症例の説明をしてくださいました。

    図3 一般病床 病床が足りないので廊下にベッドを出して寝ている患者も

    私はデング熱(デングショック)(図4)、侵襲性髄膜炎菌感染症、日本脳炎、新生児の麻疹、破傷風、Streptococcus suisによる細菌性髄膜炎、HIV、マラリア(図5)、結核、クリプトコッカス髄膜炎などの症例に触れさせていただきました。日本ではまれな疾患も多く、勉強になりました。S.suisの髄膜炎は日本ではまれな感染症ですが、ベトナムでは食習慣の違い(S.suisは非加熱の豚から感染する)によって髄膜炎の起炎菌としては最多とのことで、文化の違いが感染症にも影響を与えている点が興味深かったです。

    図4 ICU病棟でデング熱の患者にエコーを当てるシーン 
    図5 マラリアのラボでの実習 塗抹標本の作成や鏡検の実習を行いました

    レクチャーでは、マラリア、腸チフス、デング熱、破傷風、メリオイドーシスなどに関する講義を受けました。また、ベトナムの医療事情や耐性菌の状況などについてもお話を聞くことができました。

    最終日にはベトナム滞在中に学んだ症例のプレゼンテーションをして修了(図6)です! 同行しているスタッフのサポートもあります。

    図6 修了証受領のシーン  写真左が院長のNguyen先生、写真右のシャツの襟が乱れている人が筆者

    本研修は、日本ではなかなか診ることのできない疾患を経験できるよい機会なので、かなりお勧めです。同行する日本人スタッフや現地の医師もサポートしてくれます。2023年度の募集はまだ開始されていませんが、開始次第IDATENなどでご案内するので、しばらくお待ちください。

    注意事項として、私が参加したときは、参加条件の一つとして「すでに熱帯感染症の基礎について基本的な学習を終えていること」が求められていました。それをクリアしていることの具体例として、
    (1)過去に当院の「輸入感染症講習会」を修了していること
    (2)国内外の感染症研修プログラムで学んでいること
    が挙げられていました。2023年度はどうなるか不明ですが、これについては事前の準備が必要となるので、ご参加を希望される方はお早めに準備されたほうがよいと思います。

    記事一覧
    最新記事
    成人 > その他
    No. 1052024. 06. 28
  • 国立感染症研究所 研究企画調整センター/国立成育医療研究センター感染症科
  • 船木孝則
  • 浜松医科大学小児科学講座
  • 宮入 烈
  • この投稿はパスワードで保護されているため抜粋文はありません。

    その他 >
    No. 1042024. 04. 01
  • 京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部
  • 京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 篠原 浩
  • はじめに 抗微生物薬適正使用の手引き(以降「手引き」)の第三版が2023年11月16日に厚生労働省から公表された[1]。本論説では、この手引き第三版について、実際の医療現場での活用法などを含めて解説する。 さて、抗微生物薬適正使用の手引きの第一版[2]が厚生労働省から公表されたの…続きを読む

    2023年米国感染症学会総会(IDWeek 2023)参加報告
    その他 >
    No. 1032024. 02. 17
  • 聖路加国際病院感染症科
  • 石川和宏
  • テキサス大学MDアンダーソンがんセンター感染症科
  • 松尾貴公
    2023年米国感染症学会総会(IDWeek 2023)参加報告

    2023年10月11日から15日までボストンで開催されたIDWeek 2023は、対面式とバーチャル会議のハイブリッド形式が採られ、9500人以上の参加者を集めました(図1、2)。このIDWeekは感染症領域では世界最大の学会総会で、米国感染症学会(IDSA)、米国小児感染症学会…続きを読む

    成人 > その他
    No. 1022023. 09. 27
  • 国立がん研究センター東病院 感染症科
  • 東京医科大学八王子医療センター感染症科
  • 相野田 祐介
  • はじめに 皆さんはHIV検査の「ウェスタンブロット法」という言葉を覚えていますか? ご存じの方も多いと思いますが、実はすでにHIV感染症の確認のためのウェスタンブロット法を用いた検査は、多くの施設でイムノクロマト(IC)法を原理とするHIV-1/2抗体確認検査法に切り替わっていま…続きを読む

    ASM microbe 2023 体験記
    その他 >
    No. 1012023. 08. 15
  • 京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部
  • 京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 篠原 浩
  • ASM microbe 2023 体験記

    今回、米国微生物学会(American Society of Microbiology;ASM)の学術講演会であるASM Microbeで現地発表する機会に恵まれましたので、情報を共有したいと思います。 1.ASM Microbeについて ASM Microbeは年1回開催され、…続きを読む

    ベトナム熱帯感染症研修
    その他 >
    No. 1002023. 01. 23
  • 国立国際医療研究センター
  • 守山祐樹
    ベトナム熱帯感染症研修

    ベトナム熱帯感染症研修は、ベトナムのベトナム国ホーチミン市熱帯病院(図1)で熱帯病の研修ができるコースです。COVID-19の影響で2020年以降中断していましたが、2023年度は再開予定です。 例年、10~11月ごろに1週間程度、ベトナムのホーチミンに渡航します。ここでは、私が…続きを読む

    「タイ・ミャンマー国境における現地で学ぶ熱帯感染症医師研修」の紹介
    その他 >
    No. 992022. 12. 17
  • 埼玉医科大学総合医療センター感染症科・感染制御科  Case Western Reserve University/Cleveland VA Medical Center
  • 小野大輔
    「タイ・ミャンマー国境における現地で学ぶ熱帯感染症医師研修」の紹介

    「タイ・ミャンマー国境における現地で学ぶ熱帯感染症医師研修」は、タイ王国のさまざまな地域・医療機関において、熱帯医学のみならず現地の医療体制、公衆衛生などについても直に学ぶことができる研修です。私も2015年度に参加させていただきましたが、大変有意義かつ楽しい2週間を送ることがで…続きを読む

    マヒドン大学熱帯医学短期研修
    その他 >
    No. 982022. 12. 05
  • 愛知県がんセンター感染症内科
  • 伊東 直哉
    マヒドン大学熱帯医学短期研修

    タイ王国マヒドン大学熱帯医学短期研修は、3日間で熱帯医学の基本を学べるコースです。医師(内科医、小児科医、総合診療医、感染症医)、看護師などを対象としています。2022年度は3年ぶりに短期研修が再開されます。COVID-19の影響を考え、医師・医学生を対象にオンライン研修と組み合…続きを読む

    手感染症――化膿性腱鞘炎を中心に
    成人 > ケーススタディ
    No. 972022. 08. 10
  • 東京大学医学部附属病院 感染症内科
  • 脇本 優司、岡本 耕
    手感染症――化膿性腱鞘炎を中心に

    はじめに 全身の中でも手指が最も外傷を負いやすいこともあり、手感染症(hand infection)は頻度の高い皮膚軟部組織感染症の一つである。手感染症は侵される解剖学的部位や病原体などによって分類されるが、中でも化膿性腱鞘炎は外科的緊急疾患であり、早期の治療介入が手指の機能予後…続きを読む

    小児 > レビュー
    No. 962022. 07. 15
  • あいち小児保健医療総合センター総合診療科
  • 小川 英輝

    はじめに 肺炎を診断したことがない、もしくはその患者の診療に携わったことがない医療者は、ほとんどいないだろう。日本では、年間およそ8~10万人が肺炎で死亡していると推計され、常に死因の上位に位置(死因の第4~5位で推移)している[1]。特に、高齢者医療に携わる方々にとって、肺炎は…続きを読む