No. 332012. 04. 17
成人 > ケーススタディ

「声が出しにくい」という訴えで受診した50歳代男性(2/3)

日本赤十字社和歌山医療センター感染症科

古宮 伸洋

(今号は3週連続で配信しています。 1号目
※本症例は、実際の症例を参考にして作成した架空のものです。


前回の情報をまとめると、特に基礎疾患のない50歳代の男性が発語困難・嚥下障害で発症し、2日後には全身硬直のため動けなくなって救急搬送された。身体所見上、意識は清明であるが全身が強直した状態である。

追加の身体所見

 担当医は鑑別疾患として、①中枢神経感染症、②破傷風、③悪性症候群、④脳血管障害を考えて、さらに身体所見を取り直した。

  • 項部硬直を調べたところ、筋肉が硬直していて首を曲げることはできなかった
  • 全身をくまなく調べてみたが、外傷は見当たらなかった
  • 膝蓋腱反射など深部腱反射は全体的に亢進していたが、感覚障害はなさそうであった
  • 痛み刺激を加えると全身がけいれんし、体の強直が強まり、胸を突っ張らせ、後ろにのけ反るような様子が見られた

追加の問診

 発語がうまくできないので十分な聞き取りはできなかったが、下記については追加で聴取することができた。

  • 内服中の薬剤はなし
  • 外傷の既往はなし
  • 動物との接触なし
  • 渡航歴、野外活動歴なし
  • 周囲に同様の症状の人はいない
  • 今までどの予防接種を受けたか不明。少なくとも成人してから受けた予防接種はない

追加の検査

1)画 像

  • 頭部CT撮影:異常所見なし

2)髄液検査

  • 細胞数 2/3μL、タンパク28.7mg/dL、糖120mg/dL

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 以上の情報から考えられる診断は何でしょうか?
患者のマネジメントはどのようにしたらよいでしょうか?

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(続く)

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